光は、生体の計測や加工(レーザーメス、目の手術など)にも応用されています。当研究室では、生命人間情報を探索するために、光を用いた計測や加工、あるいは光をエネルギーに変換する光化学に関する研究を推進しています。現在、光化学の研究において、照射された光を高効率に分子に吸収させる「光の有効利用」という新しい概念が注目されています。我々は、光と分子を強く結合させ、光の有効利用を可能にする光反応場として、局在プラズモン共鳴によって光を捕集・濃縮することが可能な光アンテナ(金属のナノ構造体)に着目し、「プラズモニック化学」という新しい研究分野を立ち上げました。金属ナノ構造が示す光を捕集して、ナノメートルオーダーの微小な空間に濃縮する効果は、通常の定常光源では誘起されない非線形光化学反応を太陽光のような微弱な光により実現できるだけでなく、エネルギーの低い可視・近赤外光を用いて太陽電池や人工光合成などの光-エネルギー変換系に応用が可能であることを明らかにしました。
具体的な研究テーマは、研究室の多くのメンバーが携わっているプラズモニック化学(近赤外太陽電池、人工光合成、ナノ光リソグラフィー、テラヘルツセンサーなど)に関する研究課題のほかに、フェムト秒レーザー加工、マイクロフォトニックデバイスの開発、レーザーマニピュレーションによる分子操作、および遺伝子診断用マイクロ分析システム(DNA分取チップ)の開発に関する研究を推進しています。
- 生体を透過できる赤外光で駆動する太陽電池の開発(生体内に埋め込み、体外から赤外光を照射することにより充電可能となる)
- レーザーマニピュレーションによる分子操作
- 微細加工技術を利用したマイクロ分析システムの開発
- フェムト秒レーザー加工やフォトニック結晶を用いた生体分子の微量分析に応用できるマイクロフォトニックデバイスの開発